ナイト・ツアー





とある用途にのみ純粋に特化して研ぎ澄まされた道具は、美しい。

無駄なものを削ぎ落とし、ひたすらに細く、狭く、ついには一点に至るまでつきつめることで、道具は究極の完成を得る。限定的な用途の中の、限定的な対象に向けた、限定的な目的のための手段──「そのためだけの道具」。見方を変えればそれは、他の用途には何ら使い物にならない、およそ役立たずのがらくたであるに過ぎない。そんなものよりも、そこそこのレベルで構わないから、あれもこれも対応出来た方が良いと考える向きもあることだろう。
しかし、純粋なまでに用途を極めた道具には、そうすることでしか得られぬかたちの美がある。一切の余剰を排した必然によってのみ成り立つ、そのかたちに人々が感嘆するのは、自分たちが決してそうはなれないということを知っているからだ。
すべてを捨て、ただひとつを志向するなど、容易に出来ることではない。人はそこに、己の持たざるものを認め、憧れる。そして同時に、その境地へ至ることを諦め、密やかに安堵するのだ。

ああ、自分はこんな風にならなくて良かった、と。



「……きれいな指」

吐息混じりに、そう感想をもらして、ルーク・盤城・クロスフィールドは、捧げ持った男の手にそっと指を絡めた。骨ばった手の持ち主は、それを自ら支える気もないのか、力なくだらりと垂らして、されるがままに任せる。まるで反応を返さないその調子では、折角絡めたと思った指も簡単に外れてしまいがちで、互いの指をしっかりと組み合わせるには少しばかりの工夫を要した。
そんな相手の非協力的な態度も気にした様子なく、ルークは繋いだ手を嬉しそうに見つめた。崇高なる純白の衣装が乱れるのにも構わずに、甘えるように身を擦り寄せる。

「パズルを解くため、だけの指。素敵だね……ジン」

親しげに囁くと、少年は視線だけ上げて、寄り添う相手を見つめた。返事は無い。頭脳集団の年若い管理官を胸にもたれさせて、長椅子に座る青年──真方ジンは、向けられる眼差しに、何ら反応を返すことはなかった。
何もかもを、かの決戦の地に置き去りにしてきてしまった、抜け殻、残骸。
おそらくは、現在の彼の姿を見た誰しもが、かつて神の書に最も近づいた男の末路を、そう形容して哀れむことだろう。しかし、青年には唯一、手放さなかったものがあった。記憶より、感情より、それは何より、彼自身の根幹をなすものであったから──などといって説明づけるのは、あまりに感傷的に過ぎる視点であろうか。
POGジャパン総責任者たる少年の「鍵つきの宝箱」に大切に仕舞われた、現在の真方ジンは、解答者(ソルヴァー)以外のなにものでもなかった。生まれついての(ナチュラル・ボーン)ソルヴァー≠ニ称賛された過去さえも霞んでしまうまでに、今の彼は純粋に、パズルの解放によってのみ成立していた。
彼が指を動かすのは、ただパズルを解くためであってほかにない。
彼が呼吸を継ぐのは、ただパズルを解くためであってほかにない。
彼が瞼を上げるのは、ただパズルを解くためであってほかにない。
彼が存在するのは、ただパズルを解くためであってほかにない。
何に妨げられることもない、パズルとの一対一の関係を結んだ彼は、ある意味で、解答者の理想形そのものといってよかった。

「楽しいよね、ジン。ずっと、パズルを解いていられるんだから。……良かったね」

絡めた指の節を優しく擦りながら、ルークは穏やかに囁いた。一本ずつをそうして挟み込み、白い指先で丁寧に揉み解していく。
最後に口元に引き寄せると、躊躇いなく、ルークは青年の指先を唇に挟み込んだ。可憐な唇をくちゅくちゅと淫猥に動かして、柔らかな刺激を与える。
奉仕を続けながら、少年は上目遣いに相手の様子を見遣った。ジンはされるがまま、無感動に身を任せ、およそ反応を示さない。ある程度予測がついていたのか、ルークはふっと苦笑してみせた。

「……パズルじゃないから、駄目?」

甘えるように呟くと、ルークは青年の指を解放した。支えを失ったジンの片手は、そのままぱたりと脇に落ちる。

「ちょっと、待ってて」

言うと、ルークは青年から身を離して立ち上がった。居間の隅に据えられた上品なウォルナットのライティングテーブルに歩み寄り、小抽斗を探る。
目的のものを見つけると、少年は再びソファに戻った。先ほどから身じろぎもしない青年に背を向ける格好で腰掛ける。白い指先を己の喉元に遣ると、軽く首を反らして、ルークはそこに巡らされた革ベルトを解いた。仰々しい首輪を、手の中から絨毯敷きの床に滑り落とす。

「……見ちゃ駄目だよ。後からの、お楽しみ」

肩越しに振り返って、ルークは虚空を見つめる青年にいたずらっぽく微笑みかけた。返事の戻らないことを気にも留めずに、少年は再び襟元に指を遣って留金を外し、純白の衣装をはだけていく。あらわになった白い胸の中央から臍までを、確かめるように撫で下ろして、ルークは小さく頷いた。先ほどライティングテーブルから取ってきたものを、片手に握り直す。
背を丸めて、何か手を動かしている白い少年と、その後姿を見遣ることもしない青年──交わらぬ二人の間に、沈黙と時折の布擦れだけが、緩慢に流れていった。



できた、と弾んだ声を上げると、はだけていた上衣を羽織り直して、ルークはゆっくりと振り返った。宝物を大事に胸に抱えてみせる幼子の在りようで、青年に相対する。

「ね、……こんなの、どう?」

胸元でかき合わせていた上衣の前を、ルークはそっと開いてみせた。布地の合間の陰から灯りの下に、白い胸、そして腹がさらされていく。

「…………」

無感動な瞳で少年に相対していたジンは、あらわになったその肌の上に、ふと視線を留めた。瞬間、その虚ろな表情に、僅かばかりの感情の揺らぎが過ぎるのを見て取ったのは、あるいは、観察者の単なる気のせいであっただろうか。
神聖なる純白の衣装を開いた、ルークのしなやかな肌の上にあったのは──縦横無尽に走る、暴力的なまでに黒々とした、無数の線分。交差し、白黒に塗り分けられた格子が、白い胸から腹にかけて、カンバスいっぱいに描かれていた。それを為した太字の油性マーカーが、ソファから床に転がり落ちる。ことり、と小さな音は、実際には絨毯に吸収されて、誰の耳にも届かなかった。
物言わぬ空虚な瞳が、ようやくこちらを捉えたことに気を良くしたのか、ルークは陶然として微笑んだ。

「……ナイト・ツアー。して」

騎士の巡歴──ナイト・ツアー。チェスピースの中で唯一、他の駒を飛び越えて移動するナイトの動きでもって、チェスボードの8×8マスのすべてを一巡させるという、古典的なパズルだ。いつも使用する重厚なマホガニーのチェスボードではなく、ここに描いた盤上でそれを為してくれと、出題者の少年は衣装をはだけてせがむのだった。
その指に触れられる前から、向けられる視線にさえ感じるというように、ルークは悩ましい吐息をもらした。だらしなく衣装を乱した格好で、彼の「宝物」のもとににじり寄る。
青年の片腕を取って、ルークは己の胸元へと導いた。

「スタートは、ここね」

浮き上がった鎖骨の下辺り、升目の角──チェス盤でいうa8の位置に、分かるように人差し指を押しつけさせる。

「さあ、パズルタイムの、始まりだよ。……ジン」

睦言でも囁くかのように宣言しつつ、ルークはゆっくりと、背後へと身体を倒していった。
両手を頭の上にやった従順な体勢で横たわり、ルークは青年を見上げた。淡青色の瞳に期待の色を宿し、愛おしげに解答者を映す。

「解いて……はやく」

少し舌足らずに紡がれた甘やかな声に誘われるように、ジンは横たわる少年に覆い被さった。指先が、つい、と肌に描かれた盤上を辿る。

「ぅん……、あは、くすぐったい」

胸の上を滑る指の感触に、ルークは首を竦めて笑った。青年の指先は一見すると無軌道に、しかしその実、極めて規則的に升目を辿っていく。時折、小さく忍び笑いをもらしながら、ルークは己の上で為される美しい解法に身を任せた。

「……っん、ぁ」

かさついた指先が臍の脇を掠めたところで、可憐な唇からこぼれた声は、それまでとは少々異なる響きを宿していた。自分自身、それに戸惑うように、少年は指先を己の口元にあてがう。紅潮しつつある頬の火照りを、白い手の冷やかさで確かめると、ふる、とルークは小さく首を震わせた。

「ふ、……ぅあ、待って、ジン、待っ……」

出題者にしろ解答者にしろ、一度開始したパズルに「待った」は通用しない。重々承知していながらも、ルークは声を上げずにはいられなかった。焦燥交じりに息を継ぎ、拙くも制止の声を発する。
パズルの中止を求めるルークの訴えは、しかし、相手に聞き入れられることはなかった。何事もなかったかのように淡々と、青年の指は肌の上を辿っていく。

「っ……、やぅ、…おねが、」

なんとか身体を離そうと、ルークは懸命に青年の肩を押し返し、腕を振り払おうと試みた。しかし、押し倒されて上手く力の入らない体勢では、それは大して抵抗の意味を為さなかった。
追いすがろうと持ち上がる少年の細い手首を、ジンはその都度、片手で掴み取っては、脇に下ろさせた。淡々と進む指先が敏感な箇所を掠めると、ルークの腕はあっけなく力が抜けてしまうから、それは大して難しい作業ではなかった。
それでもなんとか身を捩って逃れようとするルークの抵抗は、解答者にとっては単なるパズルの妨害としか捉えられなかったらしい。動かれると解けない、とでもいうように、ジンは少年の両肩を押さえ込んだ。体重をかけてソファに押さえつけられ、ぎし、と骨の軋む感覚に、ルークは声もなく喘ぐ。その重圧はすぐに弱められたが、拘束が外されることはなかった。
ルークの両肩を押さえ込んだ手を、ジンはそのまま、二の腕へと滑らせた。互いに両手が封じられる格好となり、これでは、ルークも抵抗は出来ないが、ジンもパズルを解き進められない。
いったい、どうやって続きをするつもりだろうか──息を乱しながら、心細げに視線を上げるルークの疑問に応えるように、ジンはゆっくりと姿勢を前傾した。忙しく上下する少年の胸元に、顔を埋める。

「ぇ、……っん、ぅ」

ひたりと胸の中央に押し当てられた、思わぬものの感覚に、ルークは押し殺した喘ぎをもらした。思わず身を捩りかけるが、腕を押さえ込まれていてはそれもかなわない。その間にも、柔らかく濡れた感触が胸を伝い下りていく。どうやら両腕が塞がれた以上、ジンはパズルの続きを、唇と舌でもって解くことにしたらしい。
先程までとは違った、生温いものの這いまわる感覚に、ルークは首を反らしては、泣き出しそうな声でもって応じた。

「ん、あぁ、やぅ……っ」

助けを求めるように伸びたルークの腕は、机上のチェスボードに並んだ駒をなぎ倒し、ぼろぼろと床にこぼす。息を切らしながら、少年は懸命に、解答者の名を呼び求めた。

「あ、ジン、……ジン……っ」

か細い指が、さまよった末、縋るように青年の衣服を掴む。ぎゅ、と握り締めて、ルークは己の内から湧き起こるものに堪えた。顔を背け、ソファに頬を擦り寄せる度に、柔らかな白金の髪は乱れ、覆い隠していた片目を垣間見せる。落ちかかる髪の間からも、異様なほどに鮮やかな緋色の輝きは、まざまざと見て取れた。色彩の異なる双眸を潤ませて、少年は胸元に施される舌遣いにひく、ひくと応じた。

「…………っ」

ルークが息を呑んだのは、その次の次の手順でジンの舌先の至る場所がどこであるか、否応なしに分かったからだ。正解のルートはほかになく、選ばれしソルヴァーがその手順を間違える筈もない。少年は怯えたように首を振って、逃れようと試みるも、腕に掛かった拘束の手は少しも緩まない。とうとう、無慈悲な解答者の唇は、その箇所に至った。

「あ、ぁ────」

敏感な胸の尖端を、ざらりと舌先でなぞられ、ルークは大きく背を跳ねた。思わず目を瞑り、声もなく唇をわななかせる。固く閉ざした瞼から一粒、ふるりとこぼれ落ちた滴は、火照った頬をなめらかに伝い落ちた。
それでもう、少年はすっかり力を失ってしまったようだった。糸が切れたように、くたりとソファに身を沈める。

「ふ、ぁう……あ、ぁ」

後はもう、濡れた唇で嗚咽混じりに啼くばかりで、青年の唇が肌を伝うごとに、ルークは従順にびくびくと身体を震わせるのだった。

「…………」

全64マスを鮮やかな解法で辿り終えると、ジンはおもむろに少年の胸元から頭を起こした。解放の宣言も、充足の表情も、そこにはない。パズルがあった、だから解いた──それは、当たり前のことを当たり前に為しただけで、純然たる解答者にとって、何ら特別な意味のあることではなかった。それきり関心を失ったように、青年は組み敷いたルークの上から身体をどけて、元のようにソファに腰掛け直す。
両腕を押さえ込む縛めは、もう解かれて自由になったというのに、ルークは暫く、身を起こそうとはしなかった。乱れた衣装もそのままに、力なく四肢を投げ出し、小さく喉を震わせる。

「っく、う、……ぅ」

息喘ぎながら、ぎこちなく持ち上げた右手で、ルークは無造作に目元を拭った。こくりと喉を鳴らして、切ない嗚咽を呑み下す。
だいぶ時間をかけて、呼吸を落ち着かせると、ルークは小さく呻きながら身体を起こした。纏わりつく微熱を振り払うように、気だるげに頭を振り、片手をそっと己の胸の中央に置く。

「…………」

暫しそうしていたかと思うと、少年は深く息を吐いた。目を眇めて、隣の青年を眩しげに見つめる。きしり、とソファを軋ませて、ルークは彼に身を寄せた。木陰に隠れる幼子のように、そっと寄り添い、身を預ける。
肩に腕が回るのに気付いて、ルークは緩慢に閉じかけていた瞼を上げた。少年の肩を優しく抱き寄せるかと思われたジンの片手は、しかし、中身ではなく、それを包む白い衣装に掛かった。薄い肩にかろうじて引っ掛かっている、はだけた純白の衣装を、静かにずらして肘まで落とさせる。あらわになった白い肩を、ルークは心細げに小さく竦めた。
少年のしなやかな肩を、ジンは手のひらに包み込み、そのまま二の腕へと伝い下ろす。輪郭を確かめるように、ゆっくりと辿る指先は、黄金色の鈍い輝きに触れて、ぴくりと小さく反応を示した。そろそろと指を伸ばすのは、己の触れたもののかたちを探ろうというのだろうか。白い腕に嵌められた円環に、ジンは引き寄せられるかのごとく、手のひらを添わせた。
決して外れることなく、宿主の脳を喰らい続ける忌まわしき枷──冥界往還の象徴、輪廻に囚われし哀しみの円環。
古来よりの智恵のシンボルを彫り込んだ腕輪が、所有者の精神に感応して淡く発光するその様子は、人智を超えた存在に特有の崇高なる美とともに、そら恐ろしいまでの禍々しさを醸し出す。絡みつき、締めあげ、骨の髄まで侵蝕せんとするかのごとく、腕輪は年若い少年の伸びやかな腕に喰らいついて、びくとも動かない。
そこから何か伝い知れるものでもあるかのように、ジンは腕輪に手のひらを押し当て、緩慢に撫でさすった。

「……ジン、」

溜息とともに吐き出すと、ここまで大人しく身を任せていたルークは、堪え難いとでもいうように首を振った。淡青色の瞳を眇め、煩わしげに腕を振り払う。添わされていただけの青年の手は、それで簡単に腕輪から外れてしまう。
あっけなく離れた手を、ルークは今一度、自ら掴んで己のもとへ引き寄せる。

「……触って。僕に、触ってよ」

無抵抗のジンの手のひらを捧げ持つと、ルークはそっと、首を傾げて頬擦りした。少年のそれよりもかさつき、骨ばった感触を慈しむように、うっとりと目を閉じる。ともすれば、重力に従ってずり落ちてしまいかける青年の手を、ルークは両手で支えて、己の頬を、首を、髪を触れさせた。
とうとう、腰を上げたルークは、茫として座する青年の膝に乗り上げて、彼の生気のない瞳と向かい合った。ジン、と切なげに名前を呼んで、触れるばかりに身を寄せる。
握り締めたジンの手を、白い少年は、そっと己の胸元に押し当てた。その人差し指が触れさせられているのは、先ほどのスタート位置とはまた違う升目である。

「……次は、ここからだよ」

熱に浮かされた瞳でもって、ルークは囁いた。ついでとばかりに身を寄せて、青年の唇に口づける。

「ん……ぅ」

もどかしげに柔肉を押し付けては、擦りつけるように滑らせて、また重ねる。無抵抗の口腔に舌を差し入れてかき回すが、反応が帰ってくることはない。構わずに、ルークはジンの唇に軽く歯を立てては、優しく舐めることを繰り返した。
夢中になって青年の唇を貪るルークの息が上がってきたところで、その肩がぴくんと跳ねる。

「ぁ、ん……もう、せっかちだ、ね」

切なげに眉を寄せて、少年は熱い吐息をこぼした。手元を見もせずに、青年は既に、手探りでルークのパズルを解き始めていた。

「そ、……もっと、……あぁ、」

うっとりと目を閉じて、ルークは、肌を探る青年の指の感覚に身を任せた。つい、と指先が進むたびに、蕩けきった甘ったるい声がこぼれ落ちる。
そのまま力が抜けて、ソファからずり落ちそうになるところを、青年の冷静な腕が腰を支えて抱き起こす。荷物でも引き上げるように、無造作に膝の上に抱き寄せられて、ルークは一瞬、瞳に切なげな色を過ぎらせた。しかし、敏感な箇所を掠める指先によって、それもすぐにかき消えてしまう。
指先から与えられるものにどっぷりと浸かりながら、ルークは掠れがちな声でもって、快楽のほどを伝える。

「素敵……パズルを解いているときの、君は、ほんとうに……ぁ、ん」

ふる、と背中を震わせて、少年は支えを求めるように、解答者の肩にすがりついた。

「こんな、解かせてあげるの、君だけなんだから、ね……、っん、分かってるの、」

肩口に頬を擦り寄せて、囁く声には少しばかり、不満の色が滲んだ。しかしそれも次第に、感じ入った溜息に溶け消えていく。
青年の頭を愛おしげに抱き抱えて、ルークは耳元に唇を寄せた。細い指先を、おさまりの悪い茶髪に絡めながら、触れるばかりの距離で囁く。

「もっと、……遊ぼう。いろんな解き方、教えて」

鍵つきの宝箱の中で、選ばれし脳の所有者たちは、夜の巡礼に赴く。
黄金の腕輪をきらめかせながら、濃紺の闇に堕ちていくのだった。





[ end. ]
















ただしい ナイト・ツアーの あそびかた

2012.05.06

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