blue note no.10 / Sugito Tatsuki
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どの部分を取り出しても美しいあなたのうちでも
特に観察者の思念を揺らがせ情欲を呼び起こして苛む、
あなたらしく、
のびやかでありまろやかな、
表層の質感はあくまでなめらかに触れる指を滑らせて
一所に留めることをしない、
弾力を持ち、
軽く押してやれば奥の硬質を感じさせる抵抗があり、
更に強くすれば、その表層の下をはしる、
ひたすらに緻密でしなやかな筋の弾性をおぼえ、
白い肌が指の跡に朱に染まることで、
生々しくもその肉体の存在を思わせ、
触れる者の指先と同等かあるいはやや低めの
温度のあることを自覚させ、
疑いなくその身体には血液循環をはじめとする代謝機能の
備わり働くことを知らせるのであって、
人としての存在を超越したかのようなあなたの
神聖さに反しつつも相まって、
より一層の複雑に聖俗の絡み合った美なる魅力を与え、
やわらかで、かつ確かな支柱を内包する、
軽やかで、
心地よく、
両の手で包み込んだ上で頬をすりよせ
舌を這わせて愛でたいと欲望を抱かせ、
みずみずしい果実のように、その表皮に口づけた後、
噛み破って溢れる甘美な汁を啜ってやりたいと、
あるいは内の脆さを隠し護ろうとする
頑なな外皮を、存分に時間をかけて揉みほぐし、
少しずつ剥いでいってしまいたいと、
また鋭利な刺突棒でもって、勢いのままに打ち込み貫き、
皮膚を突き破る一瞬の境界を越える手応えを得て、
内なるよく締まった肉の抵抗を受けながら
筋を裂き、線維をひき千切りつつ侵入して、
やがて骨へと達し先端が止まるに至るまで、
そうして酔いたいと思わせる、
それこそ、
[ あなたの大腿。 ]
2007.06.27
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